こくえい不動産調査

調査コラム

調査コラム1

●この道路はナニ? 2項道路で後退なし?
& 位置指定道路に見えない位置指定道路(7/18/2006)

建築基準法には、道路の種類を何種類かに分類しています。また、これとは別に「公道」「私道」という分類の仕方もあります。不動産は、建築基準法上幅員が4m以上の道路に2m以上接道しなければ、建築や建て替えができないと規定していますが、一見するとこの規定を満たしていそうで、実は調べてみるとそうとも言い切れなくなるケースが、あります。そんな、「思いがけない」ケースをご紹介します。

調査コラム1写真1 東京郊外M市の、駅から10分あまりのところにある閑静な住宅街。の道路は、一見すると普通の道路(建築基準法上で言うと、42条1項=道路法の道路)のように見えます。実際、M市役所に現地の現況認定幅員を調べると、ちょうど4mです(現地でメジャーで測ると4.03Mでした)。ところが、同じM市の道路管理課で敷地境界図を見ると、なんと2.73Mの幅員です。2項道路です。よく調べてみると、現地はもともと2.73Mしか幅員がなく、道路右側(緑の植栽とその並び)が新築の建築をしたときに、一方的に後退し幅員を4m確保したことがわかりました。本来なら、市にある敷地境界図上の道路(2項道路)の中心線から、双方にセットバックをする必要があった(つまりお互いに63.5センチずつ後退する)のですが、右側を開発した不動産業者が一方的に大きく下がって、現況の形ができたというわけです。

今回取引があったのは、左側の更地部分(仮設トイレがあるところ)でしたが、ここはもともと昭和50年代前半にミニ開発が行われたところで、その頃に前面道路のセットバックが必要だったかどうかはわかりませんが、いま現在接面道路の反対側がセットバックして下がったのであれば、自分のところの建て替え時には下がらなくてよい。よかったよかった。。。とは、限りません。

道路の反対側が下がって幅員が確保されたとはいえ、自分が下がっていないにはかわりがなく、この場合、建て替え時に自分のほうも下がりなさいよ! と指導される場合が多いです(まあ、理屈上はそうですよね)。ところが、このケースの場合、建築指導担当者は「現況4mの幅員が確保されているのであれば、下がらなくてもいいですよ」とのお話。あれっ?隣のC市では、同じようなケースで下げてもらう可能性がありますので、と言われてたんだけどなぁ。行政によって、この辺はまちまちなんですね。とりあえず、下がらなくていいと言った担当者の名前をメモメモ。。。

ところで、この左側の土地に面する道路。現地ではわからなかったもうひとつの大きなポイントがありました。実は、公図をあげてみると、左側の敷地と道路に面している部分に、道路に沿って細く筆が入っているのです。その筆は、敷地をぐるりと回って南側にある袋小路の道路(いかにも位置指定道路=法42条1項5号)と、一筆書きのように引っ張ってきているのです。

調査コラム1写真2 「これはもしかして。。。」そうです。調べてみると、やっぱり「位置指定道路」でした。普通、位置指定道路は行き止まりのような道路が多いのですが、ここでは開発したときの敷地全部にかかるように、位置指定をぐるりと全戸に回していたのですね。おまけに、その位置指定道路は私道で、接道する各戸の所有権ではなく、地元の地主さんが全部持っていることがわかりました。「いったいどうしてこんなことに???」半分悪意の気配を感じつつ、とりあえずその地主さんのところに行ったところ、やはりというか、接道する私道部分を買い取ってほしいとのこと。なんでも、開発当時の経緯はよくわからない(所有者は相続で引き継がれていました)が、私の道路所有なのに、皆さんどんどん建て替えや売買を行ってしまい、勝手に掘削や配管をいじってしまって困っているとのこと。固定資産税はうちで払っているのに、皆さんはこんなこと知らないでしょう、ということ。

公道に出るのに細い私道をいつも使っていたわけで、現状の使用は問題なくとも、建て替え時の掘削、承諾はこのままでは絶対もらえないし、勝手にやって揉めたらこれは勝てない。仕方が無いので、現所有者(土地の売主)に私道部分買取の話をしたら、えらくびっくりして、もともと使っていたし、そもそもそんな話知らないし、冗談じゃないよ! とお怒りの様子。でも、このままじゃ買った人の住宅ローンが出るかどうかもままならないし、放置できる問題じゃないし。。。

結局、この話は、私道部分を路線価の何割かの金額で買い取ることで決着し、道路部分の分筆を測量などと一緒に処理することで落ち着きました。たまたま、購入者が不動産業者(更地にして新築を建てる)で、細かい手続きもまとめてできたのでよかったですが、このことを知らないで(あるいは知ってて)そのまま処理しないで売買していたら、あとで大きなクレームになっていた可能性が高いと思われます。特に、道路所有の地主さんは、これまでにいくつかの道路に面す家の取引について、とても怒って感情的になっていたので、こじれると修復不可能の印象を受けました。ただの道路とタカをくくらず、慎重に調べることが何よりも大切です。



▲▲調査コラムメニューへ戻る ▲ページ先頭へ戻る