こくえい不動産調査

調査コラム

調査コラム9

●増え続ける都市計画・建築規制(1/10/2009)

不動産調査の場面で、いろいろな役所(行政機関)を訪問しますが、一年で同じ役所に、違う不動産調査のた何度か訪れたときに、その時々で各種の規制が変わっていることに驚かされることがあります。新たな規制が設けられたため、既存建物が現行法規・条例等に対して不適格(「既存不適格」)となってしまうケースが続発しているようです。そこで、ここではよく見受けられる規制の変化をいくつか挙げてみます。

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建物の高さ制限の新設

最近、最も多く見受けられる規制のひとつですね。住環境などの影響を考慮して、建物の高さ制限を独立して設定している場合のほか、用途地域と連動して建物の絶対高さ制限を設けているケースや、「25m第3種高度地区」というように高度地区に連動しているケースなどもあります。

大概、行政区域内全域(一部の商業地域を除いて)で設定されることが多く、この高さ制限を越えるような建物が既に建っていた場合には、その建物は既存不適格になってしまう可能性が高くなります。建物が建築された時は適法に建築しても、その後の法・条例等の新設や改定で不適合になってしまうわけですね。

そこで、その既存建築物に対して、新たに再建築する際に、この高さ制限を適用するかという大きな論点があります。高さ制限を適用してしまうと、当然再建築の際には建物のボリュームが小さくなってしまうため、例えば既存マンションの所有者の財産権の侵害や生活権の確保など、重大な問題が生じるわけですね。

例えば、東京都目黒区では、平成20年11月に区内全域で建築物の絶対高さ制限の規定を設けた際、「既存の建築物の適用除外」ということで、次のすべての条件を満たす建て替えを行う場合、絶対高さ制限の適用を除外することにしました。

  1. 建て替え後の建築物の敷地面積は、既存の建築物の敷地面積を下回らないこと。
  2. 建て替え後の建築物の高さは、既存の建築物の高さを超えないこと。
  3. 建て替え後の絶対高さ制限を越える建築物の部分の形状・規模は、既存の建築物の部分の形状・規模と同程度であること。
  4. 既存の建築物の絶対高さ制限を超える部分の用途が、現行の用途制限に適合し、かつ、建て替え後の建築物の当該部分の用途を変えないこと。

つまり、1.現在の敷地面積を下回らない 2.現在の高さを超えない 3.超える部分の形状・規模は現状と同程度 4.超える部分の用途は変えない ということです。まぁ、当然とはいえかなりハードルが高いですよね。

もうひとつのアプローチとして、景観法にもとづく景観政策の一環として、建物の高さ制限を設けているケースがあります。東京で言えば皇居御幸通りから東京駅を向いた延長線上の地域や、京都市内全域などです。景観については、最近かなりホットなテーマなのですが、意匠やデザイン、色彩など多くの規制がかかってきていることが目立ちます。そのうち、コラムにもまとめてみたいと思います。

敷地面積の最低限度の新設

東京都では、都内を対象として敷地面積の最低限度規定を、平成21年3月頃の決定・施行を目指して準備しています。また、市区町村で独自に敷地面積の最低限度を設けているところもあるほか、開発行為(三大都市圏では500u以上の土地の区画形質の変更)時の敷地面積の最低限度の規定、地区計画での規定、建築協定での規定など、さまざまなケースがあります。いずれも、敷地細分化による都市景観の乱れの抑止(いわゆるミニ開発の防止)や、良好な市街地形成を目的としています。

調査コラム9写真2 概ね、近隣商業地域や準工業地域など、比較的建ぺい率・容積率の高い地域で55〜65u程度で定めているところが多いようです。ミニ戸建業者にとっては非常に不利な話ですね。土地面積が小さければ、それだけ販売価格のグロスを下げることができますので、売りやすくなりますものね。

一方で、郊外の大規模ニュータウンのように、造成時に最低敷地面積165u(約50坪)なんて大きく取っているところもあります。ただ、時代が経過するうちにこの規定が足かせとなって、なかなか売却や世代交代がが進まない(面積が大きすぎて、土地建物全体のグロス価格が高くなってしまい、売るに売れない)なんてところもあるようです。

敷地面積の最低限度の法・条例制定時に、すでにあった狭小地は、この規定の適用除外になっているのは当然なのですが、良好な市街地形成には相当長い年月がかかる(既存宅地は小さいままで、いつまでも建て替えられる)ことになりますから、覚悟しなきゃならないですよね。

また、これに似た考え方の規制で、いわゆる「ワンルーム形式集合住宅」の住戸最低面積規定があります。通常「ワンルーム形式集合住宅建築物の建築に関する条例(指導要綱)」のような形で、狭小住戸の排除を定めています。その住戸面積ですが、自治体によって結構まちまちで、18u以上というところもあれば、25u以上のところもあります。また、以前は18u以上だったところが、25u以上に再改定されるようなケースもあります。

一般的には、六畳一間とミニキッチン、三点式ユニットバスのワンルームまたは1Kタイプで、住戸面積16〜18u程度です。25uだと、一昔前であれば1DKくらい取っていた間取りですね。ワンルーム分譲マンションや一棟の賃貸マンションを取引する場合、この住戸面積規定に引っかかるケース、結構ありますよ。ご用心!

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そのほか、こんなケースも・・・

・昭和40年代には、商業地を中心に容積率規定がなかった地域が多数ありました。斜線制限などのみで建物のボリュームを決めていたんですね。建物の床面積を合計したら、あらら…、容積率オーバー!? ご用心!

・大規模団地などの場合、現在規定の都市計画数値(建ぺい率・容積率、高度、日影等…)とはまったく別に、さらに厳しい制限数値が課せられているケースがあります。例えば…

  1. 昭和30年代〜昭和50年始め頃まで:都市計画法第11条第1項第8号に定める「一団地の住宅施設」
  2. 昭和50年代以降:建築基準法第86条「一団地認定」
  3. 地区計画 などなど

例えば、1.の規定がかかっているケースで、現在規定の都市計画の各数値よりも厳しい数値による現在の建築物である場合、容易に建て替え時にはボリュームが大きくできると考えがちですが、手順としては、この「一団地の住宅施設」の許可解除とともに、この許可解除要件として新たに「地区計画」を定める必要があるなど相当高いハードルを課せられることがよくあります。セールストークで、「今の建物には余裕があり、建て替え時には、いまより大きな建物が建てられますから!」なんて言うのは勝手ですが、現実はそんな簡単じゃありませんよ! ご用心!

・埋蔵文化財包蔵地域の指定が、なんと増えていたり広がっているケースがあります。昔の文化財包蔵地図を見て、指定にかかっていないからと言って調査をサボっていませんか? ご用心!

*写真と本文とは関係ありません



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