こくえい不動産調査

調査コラム12

●送電線付近の不動産取引について    (2/18/2010)

弊社のある東京都多摩地区の一部では、別名「送電線銀座」と呼ばれるほど数多くの送電線があります。送電線を所有しているのは、電力会社だけではありません(JRなど)が、送電線付近では、当然のことながら建築規制や、線下保証などさまざまなポイントがあります。今回は、このポイントについてまとめてみました。

まず、送電線の電圧によって、建築規制が変わってきます。
(関係法・省令:電気事業法、電気設備に関する技術基準を定める省令)

電圧(ボルト) 離隔距離 (東京電力推奨値) その他
 22,000V  3.00m以上  3.0m以上 屋上使用時は屋上床面より5.0m以上離隔
 66,000V  3.60m以上  4.0m以上 同6.0m以上離隔
154,000V  4.80m以上  5.0m以上 同6.0m以上離隔
275,000V  6.60m以上  7.0m以上 線下建造物築造禁止
500,000V 10.05m以上 11.0m以上 線下建造物築造禁止

離隔距離とは、電線がもっともたるんだ状態、または電線が風の影響によりもっとも揺れた状態における 電線と建築物との間に必要な安全距離です。電線ケーブルは、主として中心をスチール(鉄)、外周部を アルミや銅によって構成されており、夏に暑い時期に最もたるみます。 電圧によってずいぶん離隔距離が違いますが、一見送電線を見ただけでは、電圧は分かりません。送電線 の鉄塔に記載されている線名などを事業者に問い合わせる必要がありますね。特に、275,000V以上の送電 線では、線下に建造物が築造禁止となるため大きなポイントとなります。

線下には、建築できないものもあります。例えば、
  • 建造物の屋根および庇が不燃性または自消性がある難燃性の建造材料でないもの
  • 火災が発生した場合に、爆発を生じたり、災害が拡大しやすいもの
  • 爆発性・引火性を有する危険物を製造・取扱いおよび貯蔵するもの
  • 送電線との離隔距離が確保できないもの
  • 送電線線下の補償内容が禁止(建造物を建てない)契約の場合
調査コラム12 さらに、送電線線下建造物の上部造営材(屋根材、庇、ベランダ等)に金属製品を使用する場合、接地線 (アース)の取り付けが必要となります。

東京電力推奨値が離隔距離よりもさらに長いですが、これは移動式クレーン等を利用して工事等をする場 合、電線に接触しなくても近づくだけで、放電により送電線から電気が流れて、感電することがあるため に定められた数値です。クレーン等の重機類機械先端から送電線までの距離です。結構怖いですね〜!

一方で、送電線線下の土地等について、送電線所有者である電力会社等が地上権や地役権などの権利設定 を行う代わりに、金銭の保証契約を行って入るケースが一般的です。建造物の新・増・改築を行う場合や、 不動産の所有者が変更になる場合などでは、現在の補償契約内容の確認や変更、名義変更などの手続きが 必要となります。一般的な住宅の土地取引などでは、年間数千円〜数万円の線下補償を受けているケース がほとんどであるため、売買時にはこの保証金の清算が必要なんですね。

調査コラム12 さて、送電線付近の不動産取引で避けて通れないのが、「電磁波により影響はどうなのか?」という問題 です。

送電線直下または至近では、そうでないところに比較して電磁波(電磁界)数値が高い(数倍から十数倍 程度)ことは知られています。これが、直接健康に対する影響があるかどうかは、実はまだ定まった評価 が(たぶん)ない、というのが現実です。

例えば、電力会社の説明では「短期的にも長期的にも、人体に対する影響は見られない」ということです し、一方で消費者保護団体などでは、人体への危険性を指摘する(煽る?)…現実的には、それぞれの 「ポジショントークの域」を越えていないのかな、という印象です。

もっとも、以前勤務していた会社で、送電線下の電磁波を懸念されているお客様に対し、「電磁波が強い おかげで、肩こりとかが治るんじゃないですか?」と言い放った猛者がいたとかいないとか…(この説明 は、お客様の信頼を失いますので、絶対にやめましょう…苦笑)




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